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第278話 小さな子~ペットボトルの金魚~

どうも、ANZYです

親がたった今味わった実話。


親が友人宅から帰るとき、時間は12時頃であった。

母が自転車をこぎ、自宅を目指していたとき、信じられない光景を目にする。


――小さな子供が一人、焼酎のボトルに金魚を入れ、裸足で自転車をひいていた


小さい子が何故この時間に?そして何故裸足で?

母はそのまま通りすぎようとした。

しかし、この時間にこんな格好で歩く子を無視出来ない。


母は、その子に話しかけた。

「ボク、何故こんな時間にいるの?」

彼は答えた。

「友達の家で金魚をもらってきたの。」


そして母は更に質問を続けた。

「でもなんでこんな時間に?パパやママは心配しないの?親は出かけてるの知ってるの?」

彼は答えた。

「うん、知ってるよ。」


当然、母は子供一人で歩いてるということに大きな不信感を抱いた。


そして母は子供を見下ろしたその時初めて、少年が裸足である事に気づいた。

そして彼にまた質問をした。

「なんで裸足なの?」

彼は躊躇せず答えた。

「はいてくるのを忘れた。」


母は心配になり、その少年に言った。

「この時間にボク一人じゃ心配だからオバサンが家まで送っていくよ。」

少年は「うん」と答えた。


歩きながら世間話をした。そして色々な質問をした。

年齢は教えてくれない。なんとか聞きだせば、幼稚園の年長さんだそうだ。

そして何組か聞けば「ふじ組」と答えた。他にも3クラスの名前を答えた。

来年行く学校を聞けば、私が昔通っていた小学校の名を挙げた。

彼は一人っ子でもあるらしい。

母との会話の中でそう話し、「お兄ちゃんが欲しいな~」と言ったそうだ。


そして歩いていくと、ナカニシという表札の家の前についた。

母は家に着いたのかと思い、「ここなの?」と聞いた。

少年は「ここ僕の家」と答えた。

母が「ボクの名前はなに?」と聞くと少年は答えた。

「ナカニシ コウタロウだよ」

ああ、ここの家の子供だと母は確信し、安心して家に入ろうとした。


そして少年がインターホンを押しかけたとき、少年は自分で言った。

「あれ?ここ僕の家だったっけかな?」

母はあっけに取られた。

ふとベランダを見上げると母親らしき人物が。

母は会釈と挨拶をし、その母親らしき人物に話しかけた。

「あの、お子さんを・・・」

しかし、その女性が言った台詞に母は驚きを隠せなかった。


「ウチ、小さい子供いませんよ。」


ベランダから顔を出した理由は、祖母が帰ってきたと思ったのだと言う。

そして母は経緯を話して、確認し、少年と行こうとしたとき


少年は、この場にいなかった


ベランダから見てた女性によると、たった今角を曲がったとの事。

急いで母は角を曲がった。しかし、もう人影はなかった。


一体なんだったのか。幽霊か。そのとも人間か。

幽霊ならいい、しかし本物の人間だと思うと逆に心残りであった。



そして、母は不安な気持ちを抱えたまま我が家へと帰宅した。
by anzy-ryota | 2006-10-22 01:33 | リア
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